Ema手帖 ~妊娠・出産・育児の体験談やおすすめ絵本のご紹介~

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【絵本】”せきたんやのくまさん”の哀愁と2歳児の反応

せきたんやのくまさん (世界傑作絵本シリーズ―イギリスの絵本)

 

1.せきたんやのくまさん 内容

 

とある石炭屋のくまさんの話。

 

”くまさん”といっても、どう見たって”テディベア”。

 

なんとなく縫い目らしきものが見えます。

 

原題をみてみると、”Teddy Bear Coalman”。

 

あ、やっぱりテディベアだった、となぜか安心しました。

 

めーっちゃ平たく言えば石炭業者の業務日誌

 

なにをしたとか、どこへ売りに行ったとか、

 

いくらで売れたとか。

 

ただ、繰り返し読んでみると、

 

くまさんの悲哀を感じて胸に迫るものがあるのです。

 

 

2.端々に感じるくまさんの悲哀といちいち心配する娘

 

1ページ目からすでに切ない。

 

「あるところに せきたんやのくまさんが たったひとりですんでいました」

 

そこ、強調しなくてもいいのになぁ。

 

原文はどうだったのだろう?

 

” Teddy Bear Coalman lives all by himself "

 

Web辞書をみると

 

・一人暮らしをする

 

・独りぼっちで暮らす

 

とある。

 

一人暮らしではいけなかったのかなぁ。。

 

訳者、いしいももこ先生は何かを感じていたのかもしれない。

 

 

「なんでひとりなの?」

「おかあさんはいないの?」

「おとうさんは?」

 

と問う2歳の娘に母さんは答えられなかったよ。

 

けれど、たったひとりでも、いや、たったひとりだからこそというべきか、

 

このくまさんは、めっちゃまじめに働きます。

 

セリフは全くありません。

 

ただ黙々と、働くのです。

 

 

 

それから、冒頭の挿絵。

 

くまさんが寝ているのはベビーベッドのようなところ。

 

柵で囲まれています。

 

でもくまが寝ているので、もうそれは

 

どうやって入るの?自分で降りれるの??

 

と、ここでも娘の突っ込みが・・・。

 

確かにこの柵の高さをまたぐことはたぶん無理。

 

 

 

子どもって、字が読めない分、挿絵の細かなところをよく見ています。

 

まさに”絵を読む”という感じ。

 

それで、絵に何が描かれているかを推測して、聞いています。

 

大人は字ばかり追うから、子どもの視点にはハッとさせられることばかり。

 

 

 

たぶん、何かツマミ的なものを引っ張って柵をおろすんだろうね。

 

寝返りしても落っこちないから安心だね。

 

と回答しました。

 

「へー。」

 

と返事されました。

 

くまさんのように無表情でした。

 

 

もうひとつ、気になったのは、とある奥さんのところへ石炭を売り届けた場面。

 

せっせと石炭を倉庫に運ぶ後ろで、

仁王立ちする奥さんが描かれています。

 

そして微笑。

 

現場監督?

 

もう少し手伝ってしてあげてもいいのになぁ・・・。

くまさんは、一応熊だけどさ、力持ちらしいけどさ。

 

これ見る限り、くまさんはとても小さい。

子どもに仕事をさせているようで胸がいたい。

 

お金払ってるんだからやってもらって当然でしょ?

 

とおもっているのか。

 

 

もしくは

 

「大変ねぇ、手伝うわよ」

「いや、平気っす!汚れるんで自分やりますよ」

 

みたいなやりとりがあったのか。

 

真相は不明。

ちょいちょい散りばめられている”くまさん”の

この本の真の魅力ではないのかと思っております。

 

 

3.時代の変化と心配されるくまさんの生活。

 

この本はイギリスで1948年に出版されたもの。

coalman(石炭を供給する人)の職業は当時一般的だっただろうけど、

今はもうその仕事はほとんどありません。

 

となると、心配されるのは、くまさんの生活ですが・・・。

 

ご安心ください。

 

 

くまさんはその後も転職&転職&転職・・・・

 

 

転職しまくります。

 

植木屋さんとか

うえきやのくまさん (世界傑作絵本シリーズ―イギリスの絵本)

牧場運営とか

ぼくじょうのくまさん

郵便屋さんとかね。

ゆうびんやのくまさん (世界傑作絵本シリーズ―イギリスの絵本)

いまごろSEとかになってるかもしれない。

 

もしくは引退して快適なシニアライフかも。

これだけまじめに働いてきたわけだし、

ゆっくりしてもらいたい、そう願います。

 

いずれにしても多くを語らない本ゆえに、謎は多い。

 でもあれこれ想像させてくれる本は個人的に好きなのです。

 

4.余談 イギリスの不思議なお祭

 

イギリスと石炭で検索していたら行きついたのがこちら。

 

石炭運びレース大会

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50㎏の石炭を担いで、1マイル(1.6km)を爆走するというものだそうで。

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女性もこの通り爆走!

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優勝者?っぽい人。それよりもうしろのゆるキャラが気になる。

http://www.gawthorpemaypole.org.uk/

 

くまさんにもぜひ出場してもらいたいなと。

 

☆読み聞かせの反応☆

子どもの反応はまぁまぁです。

でも石炭屋という職業がわかりにくいようで、

”パンやのくまさん”のほうがお気に入り。

パンやのくまさん (世界傑作絵本シリーズ―イギリスの絵本)

パンやのくまさん (世界傑作絵本シリーズ―イギリスの絵本)

 

じゃーそっちを紹介してよ!という方もいると思います。

 

うん、おっしゃる通り。

わたしも書いていて、なんでこっちを書いてんだろう、って・・・。

 

たぶん、こっちのほうが哀愁があったからでしょうね。

パン屋のではお客さんに好かれていて、ゼリーとかもらってましたし。

 

たったひとりでまじめに働くくまさんを、一人でも多くの人に知ってもらえれば幸いです。

 

せきたんやのくまさん (世界傑作絵本シリーズ―イギリスの絵本)

せきたんやのくまさん (世界傑作絵本シリーズ―イギリスの絵本)

 

読み聞かせ時期:2歳11か月