3世代に愛される絵本”からすのパンやさん”
絵本作家界の重鎮、かこさとし先生による大ベストセラー。ママも子どもも、ひょっとするとおばあちゃんも(!)幅広い年代にファンがいる作品。
みんながからすのパンやさんを好きな理由
なんといってもやっぱり、あのズラズラズラ~っと並べられた創作パンのページの存在が大きい。キラキラ目を輝かせて、一つ一つのパンに思いをはせてみる。こねこパンの目はチョコでできているのかなぁ、りんごパンはりんごジャムだろうか?と想像しながらずっと眺めていたものだ。
ところでこの物語のあらすじ、皆覚えているのだろうか。私は約30年ぶりに読んだのだが・・・こんな話だったっけ?の連続だった。
まさか武装警察まで登場するとは・・・。
ファンタジーがリアルに感じられる細かな描写
かこさとし先生の作品は、キャラクターや設定についての細かい描写が多い。例えば、パン作りの工程が説明されていたり、一度しか出てこないカラスの名前がわざわざ書かれていたり。物語のあらすじにはそれほど影響しないけれど、子どもがお話の世界に入っていくうえで必要な要素ではないか。まるでそこに”いずみがもり”が存在しているように感じられる。たくさんのカラスが登場するが、1羽1羽見事に描き分けられていて、身なり風貌がすべて異なる。
大勢のカラスの群れがいたならば、それはチョコちゃんたちのパンを買いに急いでいるのかも。
からすたちが住まう”いずみがもり”は案外すぐそばにあるのかもしれない。