自由研究のテーマにも◎干した食材にまつわる写真絵本『干したから』
子どものころ、夏休みの宿題で最も苦手だったのが自由研究。一体何をすればよいのやら。小学校での受け身の勉強と異なり、いきなり「勝手にどうぞ」と突き放された感じがして、困ったという方も多いでしょう。
既に、宇宙、歴史、昆虫など、何かに興味関心がある場合は良いですが、子どものころのわたしは何にも興味を持てず、テーマ選びの段階で大苦戦。どうすればよいか??でした。
そんなお子さんでも「食べ物」には多少関心があるのではないかと思い、自由研究のネタになるような食に関する絵本(科学絵本)をご紹介しています。
前回はこちらの4作品。
ささやかながら、検索でアクセスいただいており、ありがたいかぎりです。
そして今回ご紹介するのがこちらです。
”干し食材”をテーマにした写真絵本『干したから・・・』
本作品の作者は写真家の森枝卓士さん。東南アジアを中心に世界各国で食に関する取材や写真撮影を行っている方です。2016年3月に出版された比較的新しめの本。写真家がとられたものだけあり、色彩もきれいで見ごたえ十分の1冊です。
世界中の食卓にのぼる干した食材
私たちの身の回りには、干した食材がたくさんありますよね。干した食材と言われると切り干し大根や昆布、大豆がパッと浮かびました。が、本を読んでみると、私たちにとって”干し食材”はなくてはならないものだなとよくわかります。
例えば、朝食で食べる海苔、お味噌汁のわかめ、お漬物の梅干し、さらにはお米もすべてお日様に照らされた”干し食材”なのです。これらなくして、日本人の食生活はありえませんよね。
海外でも同じです。パスタやトウガラシ、豆類、干し肉など干すという過程が必要なものばかり。特に、冷蔵庫の普及が未だの地域では、少しでも長く食材を食べられるように”干す”という工夫が絶対不可欠なのです。
本の内容と日本が誇る究極の食材
本は写真をメインに次のような内容が盛り込まれています。
・干す前後での食材の見た目の変化
・世界各国の干し食材
・なんで干すのか(腐りにくくする工夫など)
・干す前後での食材の重さの比較
等々。
加えて
各国を歩いた森枝氏が日本のある食材を称賛しています。
それがこちら。
そう、かつおぶしです。
普段何気なく使っている鰹節。こちらは魚の水分を抜くために、様々な技術が使われており、日本人の知恵がここに凝縮されているといっても過言ではありません。
煮る、いぶす、干す、菌付け、さらに干すさらに菌付け・・・を繰り返してできたのが鰹節。これほどの手間暇をかけて、わたしたちの食卓に上っているのです。
自由研究への活かし方。干し食材を実際に作ってみよう
自宅にある干し食材を探してみるというのも、宝探しのようで面白いですよね。ただ、それを調べてまとめて終わり、だとつまらない。
”やってみる”実験的要素が必要ですよね。このテーマの良い点は、自宅でも簡単に、干し食材を作れるところにあります。
巻末に、作り方が載っていますので、ぜひご参考にしてみては。
干す前後での、見た目、質量、味、匂い、手触りの違いをまとめるだけでも立派な研究になりますよね。干す場所(日向と日蔭)干す時間(半日と1日)などで分けてみるなど。いろんな方法で実験可能です。
夏ですから、なす、ピーマン、キュウリ、ゴーヤ、等の野菜でも試せますし、魚から干物を作ってみるのも◎。本来ならばカビや腐敗にはくれぐれもご注意を・・・といいたいところですが、カビや腐敗したらしたで、なぜしたのかを考えるのもよし。失敗からのほうが絶対学べますからね。
干したもの=自然のめぐみと、人と知恵とのけっしょう。
作品の終わりに↑のように締めくくられています。
何気なく口に運んでいるものたち。どういう過程を経てきたのか、”干す”ということに絞ってのぞいてみると、色んなことが見えてくるかもしれませんね。
自由研究の参考資料としてだけではなく、食育としてご自宅で読み聞かせや一緒に見てみるのも良いのではないでしょうか。